Vol.1 草薙といえば...


発射台から発射!


グングン上昇する大龍勢


変化が開きました

草薙といえば、くさデカ? SMAPの草なぎクン? いえいえ、この時期の「草薙」といったら、やはり「大龍勢」でしょう。
 今年は9月20日(祝日)に、日本武尊を祀る草薙神社の秋の例大祭の余興として、五穀豊穣、家内安全、商売繁盛を祈願する草薙大龍勢が行われました。

■由来は?

戦国時代の天文12年(1543年)、初めて火縄銃と黒色火薬が伝来したのち、城攻め用の「火矢」から転じて「のろし」が考案されました。「昼のろし」(龍勢)は煙や布きれ又は旗などを漂わせ、「夜のろし」(流星)は、光で合図しあうものであったそうです。

この技法が草薙に口秘伝のまま受け継がれてきて、更に工夫改良され、安政年間からは日本武尊(やまとたける)を祭神とする、草薙神社の秋季例大祭日に打ち上げが行われてきたということです。 

※由来については、草薙神社龍勢保存会・有度まちづくり推進委員会設置の看板より引用させてもらいました。ちなみに安政年間は、1854年〜1860年。1868年の明治維新の少し前です。

■誰が作るの?

打ち上げを行うのは、龍勢保存会。草薙周辺に保存会の支部(流派)があり、保存会のメンバーを中心とした地元の人たちが、龍勢の製作、打ち上げを行います。今年の打ち上げプログラムを見たところ、流派は13ありました。また、龍勢の製作にはお金もかかるため、スポンサーがつくところが多いです。


■どんなもの?


龍勢のパーツは大きくわけて3つ。変化(へんげ、と読みます。仕掛け花火のこと。)や落下傘(パラシュート)を仕込む、ボール紙でできた「頭」(がわ、と読みます)、火薬を詰めた長さ1m弱の竹で、龍勢を打ち上げるロケット部分の「吹き」、それから龍勢の胴体に当たる長さ12〜15mほどの竹である「さお」(または「尾」)から成っています。

■つくり方は?

では、龍勢はどのように作られるのでしょうか?龍勢を打ち上げる龍勢保存会の1つ、草薙奥支部3組(庚申流)を例に見てみましょう。 今年は作業の日程が1週間ほど早く推移していましたが、例年のスケジュールだと次のようになります(主な作業のみ記載)。

▽本番3週間前
 竹取り(予備用も含めて吹き用に3本、さお用に2本。草薙周辺の竹林から適当な竹を取ってきます)。パラシュートづくり。

▽本番2週間前
 頭、変化筒の作成。

▽本番8日前
 薬研(やげん)のさび落とし。

▽本番1週間前
 薬研で火薬を細かくする。変化の仕込み(変化筒に花火を入れてフタをする)。頭の仕込み(変化筒、パラシュート等をいれてフタをする)。

▽前日
 吹きに火薬を詰める。吹きの錐揉み(きりもみ)。錐揉みは吹きの噴射口を作るために行われます。 

▽当日
 組み立て(頭と吹きとさおを合体させる)。


庚申流(草薙奥支部3組)


翔雲流(谷田支部)


明神流(草薙奥支部2組)


大極流(草薙西支部)

 



竹取り。竹のサイズを計測中。


さおを電柱に立てかけます。
(乾燥させ重量を軽くする)


頭にパラシュートを仕込む

火薬を詰めた「吹き」

当日の組み立て作業

草薙神社に並ぶ大龍勢
(頭は紅白布で覆われる)
 

発射台まで龍勢を運びます

打ち上げ成功! 喜び爆発!!
 

夜の流星 その1

夜の流星 その2
 


■いよいよ打ち上げ

1ヶ月ほどの準備期間を経て、いよいよ打ち上げです。各保存会は、自分たちが製作した龍勢を、草薙神社近くの高台にある龍勢の発射台近くの龍勢置き場まで歩いて運びます。そこから1本ずつ発射順ごとに発射台へセット。

昼の部(龍勢)は10分ごと、夜の部(流星)は15分ごとの打ち上げです。残念ながら打ち上げに失敗した龍勢もありましたが、今年は成功率が高かったということです。

初めて発射台近くで見た龍勢は、ど迫力。何より打ち上げ時の噴射音がすごい。それから、あっという間に勢いよく空をかけ上がる龍勢(最も高いものだと300mほど打ちあがったそうです)を見るのはとても気持ちの良いものでした。

長い時間をかけて、地元に伝わってきた龍勢。今年も多くの人たちの努力と知恵によってたくさんの龍勢が空へ飛び立ちました。ちなみに、今年は昼の部に13本、夜の部に11本の計24本が打ち上げられました。

今年も多くの方が龍勢を見に来てくれました。龍勢の製作は保存会でないとできませんが、龍勢を見てくれた方が龍勢をきっかけとして、草薙という地域にもっともっと興味を持ってもらえればと思います。

   

 レポーター 赤池 勇治